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4-7 田中さん、泉さんの出演がさらに応援の輪を広げる。


 田中さんの出演が決まったことを石川県の方々に知らせると、誰もが
「ほんとけ!」
 と驚きの声をあげた。
 地元出身の女優、田中美里さんが出演するだけでもニュースなのに、そこに泉さんの出演も報じられると、
「すごい!」
 という声がわきあがり、『能登の花ヨメ』への期待はいがやうえにも高まっていった。
 特に年配の女性の方々が本当にうれしそうな顔をして喜んいるのが印象的で、改めて田中さんや泉さんの人気の凄さを思い知った。
「どこでロケするんや?」
 いく先々で、地元の有力者の方にそう尋ねられるようになった。
「いろいろ候補はあがっているんですが、決定は主要スタッフによる最終のロケハンを終えてからになるんです」
 嘘ではなかった。白羽監督をはじめ、助監督、カメラマン、美術、照明などの技師さんがそれぞれの目で場所を確認してからでないとロケ地は決まらない。
「うちの町でやるやろな」
 とあたりをみまわして小声でそう確認する人や
「ぜひともうちの町でも撮ってほしいもんや」
 と豪快に笑いながらおっしゃる方がいた。
 できるなら自分の町で映画を撮ってほしい、それが能登の人々の本音のようだった。
 穴水町の岡崎さんは、相変わらず絵になる場所を監督に紹介していたし、キリコ祭りの撮影場所に関しては、珠洲市長直々の熱いラブコールがあった。撮影がはじまったら炊きだしをしなければと、いまから頭を悩ませる輪島市の方々もいた。
 北陸放送から密着取材の依頼があり、ゆくゆくは地元の人々と映画スタッフとの交流を中心とした特別番組に仕上げたいという話が持ちあがった。
 北國新聞からも主要な撮影時には必ず取材にいくので撮影スケジュールは決まり次第送ってほしいとの連絡があった。
 半年前には考えられない歓迎ぶりだった。
 東京や大阪でそんな話をすると
「映画が撮れるのも地震のおかげですな。地震様々ですな」
 なんて憎まれ口を叩く人もいた。
 この人たちは能登の現状を知らないからそんな無慈悲なことがいえるのだ。
 能登の人がこれだけ真剣になってくれているのは、それだけ地震の被害が深刻で、藁にもすがる気持ちで私たちの映画に期待してくれているからなのだ。
 確かにここまでの道のりは長かった。
 何度も何度も頓挫しかかったし、想いだけが空まわりする日々がつづいた。
 しかし扉は開かれたのだ。
 金銭的にはまだクリアーしなければならない課題は残されていたが、『能登の花ヨメ』という映画は、それまで横たわっていた巨体をゆっくりと起こして、自分の足で歩みだそうとしているのだ。

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第4章 地震が能登を襲う。」カテゴリの記事

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