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1-7 シナリオハンティング。言葉の狩りにでる。


 映画の世界ではよくハンティングをする。
 ロケハンは耳に馴染んだ言葉だろう。ロケーションをする場所を探すことだ。ただ、場所を探すのではない。その物語に最適な風景、その舞台にベストの空間を探しに探しまわるのだ。
「峠から坂道がまっすぐに下りていてその先に集落がポツンとあるところを探してこい」
 若き日に溝上さんは新藤監督にそう命じられて、岡山県の山という山をかけずりまわったという。
 ではシナハンとは何だろう。
 私も知らなかったが、シナリオハンティングの略で、原作のない映画で一から物語を起こすときは、舞台となる町を巡って風土や風習を調べたり、物語に使えそうなその地ならではのエピソードを収集する作業のことなのだ。
 机上で生まれる物語にリアリティをあたえる言葉の狩りをすることといえばいいのか。
十二月に白羽監督と脚本家の国井さんと溝上・亀田両プロデューサーが揃って能登入りをした。
 現地の人の案内でオーストラリア人が経営する海辺のイタリア料理店や能登島のカフェを訪ねたり、七尾市、輪島市、珠洲市、能登町、穴水町をまわった。朝市、千枚田、千里浜海岸、厳門などの名所の他、キリコ会館や中島演劇堂などもみてまわる。
 夜は夜で、能登ならではの絶品の海の幸を堪能しながら、シナリオ談義に花が咲いたという。
 今日みたあの風景をこう使おう、あのおばあさんのエピソードはこう発展させようと、酒のチカラも手伝って談義は盛りあがったという。
「実はね、映画をつくるなかでもシナハンのときが一番楽しいんですよ」
 一度、溝上さんが私にそういったことがある。
 この段階では諸々の規制はない。出資者からの要望もなければ、お金の心配もない。いい映画をつくるという思いだけを中心に夢を育てる段階なのだ。

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