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1-2 映画監督を初めて見た。(はじめての全体会議)


 私が会議に出席したのは二〇〇五年八月二十五日のことだった。
 A氏のオフィスの会議室へ入ると見慣れない人ばかりだった。
 会議はまず、紹介からはじまった。
 A氏とともに出資をする、石川県の印刷会社の社長B氏。監督の白羽氏。東京からは今回の制作を担当する近代映画協会の溝上氏と亀田氏。
 私は映像の世界に生きる人、しかも映画業界の人間はほとんど知らない。特に映画監督という人間を目の当たりにするのは初めてだった(CFの監督は撮影の立ち会いのときに見たことはあったけれど)。
 白羽監督はとにかく大きな人、というのが第一印象だった。
 背の大きさは映画監督のなかでもトップクラスらしい。大柄で有名な黒沢明監督より大きいらしい。声もでかい。低く、よく通る声をしている。
 そのうえ何ごとにも動じない岩のような、来るものを跳ね返す巨大な熊のような雰囲気を発散していた。白羽監督が私より年下とは想像すらできなかった。
 白羽監督は日本大学芸術学部演劇学科演出コースを卒業後、弱冠二十八の若さで監督デビューをする。
 作品は「シーズ・レイン」。
 私にとって「シーズ・レイン」は懐かしいタイトルだった。私は大学時代に原作を初版で読んでいた。
 当時は村上春樹が颯爽と登場して、一大ブームが起こっていた頃だった。私のまわりの友人もこぞって村上作品を読んでいた。私も村上春樹の世界に夢中になった一人だ。
 その流れで私は平中悠一作品を手にしたのだと思う。
 神戸という特殊な風土の描き方は、村上春樹よりも平中悠一の方が深く、鮮やかだった。私は「シーズ・レイン」を読んだあとにも、他の平中作品を読んだ記憶がある。
 あの「シーズ・レイン」を映画化した監督なのか。私は白羽監督に不思議な距離の近さを覚えた。
 溝上さんは控えめで、静かな口調で語る人だった。
 映画をつくるということはどういうことなのか、映画が成功するためには何が大切なのか?映画づくりは何から取りかかるのか?いま決めるべき事は何か?いまから取り組むことは何なのか?
私たち素人にもわかるように噛んで含めるように説明する態度が大人だった。
 亀田氏は控えめに事の展開を見守っているという様子だった。
 このメンバーが中心になって映画をつくっていく。その日一番最初に確認されたことだった。

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